静かすぎる夜。

ご飯を食べ終わってしばらく。

小さな音量で好きなはずの音楽をかける。

部屋の温度はほどほどで、締め切った雨戸に当たる雨粒の音が聞こえる。

漫画を読んだ。

まだ定まっていない家具の配置を少し考える。

妻はソファーに寝転んで休んでいる。

テーブルにはロウソクの灯。

薄い焼酎のお湯割りは冷めた。

なんとなく芋けんぴを口へ。

すっきりしない。

不満はない。

明日が月曜日で仕事なのは皆そうだろう。

面倒な案件はあるけれどもそこまで憂鬱なことも控えていない。

寝るにはまだ早い。

今は安穏としているはずだ。

自宅を買った。

もちろんローンを組んだがごく一般的な範囲だろう。

今の仕事さえやめなければ問題ないだろう。

太ってはいるが健康面での問題は今のところない。

こそこそとした筋トレはまあまあ続いている。

毎日のご飯は美味しいし、それなりに楽しみを設定して日々暮らしている。

悩みもある。

でも大したことではないのだろう。

変化がないようで日々それなりに波がある。

それもまた楽しいはず。

諦めたことに適度な未練を感じながら、それらに励む友人を羨み、応援する。

たまには集まり、遊ぶ。

何が私に足りないのか。

何に充たされたいのか。

自分に流されたまま年を重ねて来ただけで、よく考えていなかった。

考えたふりをして面倒だから考えるのをやめた。

その方がうまくいく。

目の前のことをひとつひとつ片付け続けてここまで来た。

問題ないのだと思う。

大きな不幸もなく、大きな成功もなく。

とてもいいのだと思う。

静かな夜に、今少し、耐えられなくなっている。